「仕事はほとんど紹介で来るので、ホームページはなくても困っていない」「作ったけれど、事務所名と住所が載っているだけ」。社会保険労務士(社労士)や税理士、行政書士など、士業事務所を営む方から、こうした話をよく聞きます。
たしかに士業の仕事は、紹介や顧問先からの口づてで広がるものです。ただ、紹介された経営者が、電話をかける前に必ずすることがあります。事務所名で検索して、ホームページを見ることです。
この記事では、福島県喜多方市でWeb制作とMEO運用支援(Googleマップ対策)をしているOtsuksが、次のことをまとめました。
- 士業事務所にホームページが必要かどうかの考え方
- 経営者がホームページで確かめている3つのこと
- 社労士事務所を例にした、載せるべき7つの情報
- 社労士会の広告ルールで気をつけたい表現
- 喜多方・会津の事務所ならではの工夫
- 公開前に確認したいチェックリスト
社労士事務所を例に書いていますが、税理士・行政書士・司法書士など、ほかの士業の事務所にもそのまま当てはまる内容です。
士業事務所にホームページは必要?
結論から言うと、紹介が中心の事務所ほど、ホームページは必要です。理由は、ホームページが「新しいお客様を集める道具」である前に、「紹介された人の不安を消す道具」だからです。
紹介された経営者は、電話の前にホームページを見る
知り合いの経営者から「うちの社労士さん、いいよ」と紹介されたとします。それでも、いきなり電話をかける人は多くありません。まず事務所名で検索し、ホームページを開いて、次のようなことを確かめます。
- 本当に存在する事務所か、どこにあるのか
- 自分の会社の規模や業種に合いそうか
- どんな人が対応してくれるのか
- だいたいいくらかかりそうか
ここでホームページが出てこない、または事務所名と住所しか載っていないと、「ちゃんとした事務所なのかな」と、せっかくの紹介が止まってしまいます。
「名前で探す人」と「困りごとで探す人」の両方に応える
士業事務所のホームページを見る人は、大きく2種類に分かれます。
| 見る人 | 検索のしかた | ホームページの役割 |
|---|---|---|
| 紹介を受けた人 | 事務所名で検索 | 存在と人柄を確かめ、安心して連絡してもらう |
| 困りごとを抱えた人 | 「喜多方 社労士」「会津 就業規則 作成」など | 自分の困りごとを頼めそうだと分かってもらう |
後者の「困りごとで探す人」は、まだ誰にも相談していない人です。ここに応えられるホームページがあると、紹介に頼らない新しい依頼が少しずつ入るようになります。地域名で見つけてもらう方法は、地域の会社のためのローカルSEO入門で詳しく紹介しています。
経営者がホームページで確かめている3つのこと
士業事務所のホームページで、見る人が知りたいことは、実はとてもシンプルです。
- 頼めるか:自分の困りごとを、この事務所に頼めるのか
- いくらか:顧問料や単発の依頼で、だいたいいくらかかるのか
- 誰か:どんな人が担当してくれるのか
事務所の沿革や経営理念より、この3つが先です。「頼めるか・いくらか・誰か」に答えられているかどうかで、問い合わせが来るホームページかどうかがほぼ決まります。次の7つの情報は、この3つに答えるためのものです。
社労士事務所のホームページに載せるべき7つの情報
① 対応業務を「経営者の困りごと」の言葉で
「労務相談」「就業規則作成」「各種手続き代行」と業務名を並べるだけでは、Webに詳しくない経営者には何を頼めるのか伝わりません。業務名の横に、どんなときに頼むものかを一言添えましょう。
| 業務名 | 経営者の言葉に言い換えると |
|---|---|
| 就業規則の作成・見直し | 「従業員が10人を超えたので、きちんとしたルールを作りたい」 |
| 労務相談 | 「残業代や有休の扱いで、何が正しいか分からない」 |
| 労働基準監督署の調査対応 | 「監督署から調査の通知が来て、何を準備すればいいか不安」 |
| 給与計算・手続き代行 | 「社会保険の手続きや給与計算に、毎月時間を取られている」 |
| 年金事務所の調査対応 | 「年金事務所から書類が届いた。どう答えればいいか分からない」 |
Otsuksが制作した桜木社会労務士事務所様のコーポレートサイトでは、労務相談・就業規則・監督署調査対応・各種手続き代行・年金事務所調査対応の5つを、それぞれ専用ページに分けました。経営者が「自分の困りごとはこれだ」と見つけやすくするためです。
② 代表・スタッフのプロフィール(顔写真・資格・登録番号・所属会)
士業は「人に頼む」仕事です。顔が見えないホームページは、それだけで候補から外れます。次の内容を載せましょう。
- 顔がはっきり分かる写真
- 氏名、保有資格(特定社会保険労務士など)
- 社労士の登録番号と、所属する都道府県社労士会
- これまでの経歴と、得意としている業種や相談内容
- なぜこの仕事をしているのか(短くてかまいません)
登録番号と所属会は、「本当に資格を持った事務所か」をすぐ確かめられる情報です。信頼につながるので、省かずに載せてください。スタッフの写真や名前を載せるときは、本人の了解を取り、退職した方の情報は早めに消すことも忘れずに。
③ 料金の目安と「何が含まれるか」
士業のホームページで、いちばん迷うのが料金の表示です。「案件によって違うので書けない」という気持ちはよく分かります。それでも、目安がまったく書かれていない事務所は、見る人の候補から外れやすいのが現実です。
おすすめは、次のような書き方です。
- 顧問契約:従業員数ごとの月額の目安(「〜名まで 月額◯円〜」)
- 単発の依頼:就業規則の作成、助成金の申請、調査対応などの目安
- 顧問料に含まれるもの・含まれないもの(手続きの回数、訪問の有無、給与計算の扱いなど)
- 初回相談が無料か有料か、オンラインで受けられるか
社労士の場合、依頼を受けるときに業務内容と報酬を書面などで明示し、十分に説明することが、全国社会保険労務士会連合会の会則で求められています(第43条の3)。ホームページの料金ページは、その説明の「前段階」と考えると、何を書くべきかが見えてきます。
④ 相談から契約までの流れ
初めて士業に相談する経営者は、「相談したら、そのまま契約しないといけないのでは」と身構えています。次の流れを、図や番号つきの箇条書きで見せましょう。
- お問い合わせ(フォーム・電話・LINEなど)
- 初回のご相談(所要時間の目安、対面かオンラインか、費用がかかるか)
- お見積り・ご提案
- ご契約
- 業務の開始(最初にお願いする資料など)
「初回相談のあとで、契約するかどうかをゆっくり決めていただけます」と一言あるだけで、問い合わせの心理的なハードルは下がります。
⑤ 事務所概要・アクセス・対応エリア
基本的な情報ですが、抜けやすい項目です。
- 事務所名(社労士会に登録している正式な名称)、所在地、電話番号、営業時間
- 駐車場の有無と台数(会津では必須です)
- 対応エリア(喜多方市、会津若松市、会津坂下町など、実際にお客様がいる地域)
- オンライン相談への対応(県外や、遠方のお客様向けに)
なお、茨城県社会保険労務士会のQ&Aでは、登録している事務所名と異なる屋号で広告することは社労士法に反するとされています。「◯◯相談センター」のような別名をホームページに大きく掲げる前に、所属の社労士会に確認してください。
⑥ よくある質問と、お客様の声の扱い方
よくある質問(Q&A)は、問い合わせの前に不安を解消するページです。実際に初回相談でよく聞かれることを、そのまま書きましょう。
- 従業員が数名でも顧問契約できますか
- いまの社労士からの切り替えはできますか
- 相談だけでも大丈夫ですか
- 会社まで来てもらえますか。オンラインでも相談できますか
お客様の声は、載せ方に注意が必要な項目です。顧問先の社名を出す場合は、必ず事前に了解を取ります。「顧問契約後に助成金◯◯万円を受給」のように、金額の実績だけを強調する書き方は、見る人に過大な期待を持たせるとして、社労士会のQ&Aで不適切とされています。載せるなら、「相談しやすかった」「説明が分かりやすかった」といった、仕事の進め方についての声が安心です。
⑦ お知らせ・法改正情報の更新欄
最後の更新が3年前のホームページは、「いまも営業しているのかな」と思われます。長い記事を書く必要はありません。次のような短いお知らせを、ご自身で更新できる仕組みにしておきましょう。
- 法改正の要点と、顧問先に影響があること(最低賃金の改定、育児・介護休業の制度変更など)
- 年末年始・お盆の営業、臨時休業
- セミナー・勉強会の開催、メディア掲載
桜木社会労務士事務所様のサイトでも、メディア掲載などのニュースをトップページに載せ、事務所側で更新できる仕組みにしました。法改正の情報を自分の言葉で発信し続けている事務所は、それだけで「きちんと勉強している先生だ」と伝わります。
7つの情報を支える「問い合わせボタン」
7つの情報がそろっても、問い合わせの入口が分かりにくければ連絡は来ません。問い合わせフォームへのボタンは、トップページの最初の画面と、各ページの最後の2か所に置きます。フォームの入力項目は、会社名・氏名・連絡先・相談内容の4つ程度にしぼりましょう。スマホで見たときに、電話番号をタップしてそのままかけられるようにしておくことも大切です。
気をつけたい表現:社労士の広告ルール
士業のホームページづくりで、いま必ず押さえておきたいのが広告のルールです。社労士を例に説明します。
社労士の広告は、連合会の会則で決まっている
社労士法そのものに広告の条文はありませんが、全国社会保険労務士会連合会の会則で、次のことが定められています(第43条の4)。
- 誇大または虚偽の事項により、相手を欺くおそれがある方法で広告・宣伝をしてはならない
- 相手の承諾を得ずに、電子メールで広告を送ってはならない
さらに、業務内容や報酬など、相手の判断に影響する重要なことについて、うそを言ったり、わざと伝えなかったりして依頼を勧誘することも禁じられています。会則では、連合会がこうした行為をしないよう会員を指導し、適正な労使関係が損なわれないよう指導するとも書かれています(第44条)。
2025年には、797件のネット広告が是正された
日本経済新聞の2025年8月30日の報道によると、連合会はネット広告を巡回する仕組みを本部に作り、社労士倫理に反する会員の広告を是正させています。すでに797件が是正され、例として挙げられたのが「100%経営者の味方です」という表現でした。社労士は労使の中立という立場があるため、一方の味方だと言い切る表現が問題とされたのです。
このほか、都道府県の社労士会のQ&Aでは、次のような表現も不適切とされています。
| 気をつけたい表現 | 理由 |
|---|---|
| 「100%経営者の味方」 | 労使中立の立場に反する |
| 助成金の受給額だけを並べた広告 | 要件を満たさなければ受給できないのに、過大な期待を持たせる |
| 「成功報酬」「社会保険料削減」 | 誇大、または利用者の期待をあおる表現とされている |
| 登録と異なる事務所名・屋号 | 実在しない事務所名による虚偽広告にあたる |
「絶対」「必ず」「地域No.1」のように言い切る表現や、不安をあおる表現も避けましょう。見る人を安心させるはずのホームページが、事務所の信用を損ねる原因になっては本末転倒です。
ほかの士業にも、それぞれの規程がある
弁護士には日本弁護士連合会の業務広告に関する規程が、税理士には各税理士会の広告に関する細則が、行政書士には行政書士倫理の広告の条文があります。どの士業でも、ホームページの文章は広告として扱われると考えて、所属する団体のルールを確認してください。
ここで紹介したのは、公開されている会則やQ&Aの一部です。Otsuksは制作会社であり、法律や会則の解釈をお答えする立場ではありません。実際の表現が問題ないかどうかは、所属の都道府県社労士会(ほかの士業の場合は所属団体)に確認することをおすすめします。制作の段階で「この表現は確認したほうがよさそうです」とお伝えすることはできます。
喜多方・会津の士業事務所ならではの工夫
地方の士業事務所には、都市部と違う事情があります。ホームページにも、それを反映させましょう。
「会いに行ける距離」を強みにする
会津の経営者には、対面で相談したい方が多くいます。「会社まで伺います」「喜多方市内・会津若松市内は訪問無料」のように、近さを言葉にして伝えましょう。あわせて駐車場の情報と、冬の来所についての一言(除雪、大雪の日の対応)があると親切です。
オンライン対応で、県外の顧問先にも応える
一方で、県外に本社がある会社や、支店だけが会津にある会社もあります。「オンライン相談可」「全国の顧問先に対応」と書いておくと、地域を限らず依頼が入ります。会津に拠点を置きながら県外の会社と取引することは、Otsuks自身も日々行っていることです。
地域の経営者の困りごとに寄せる
会津は人手不足と後継者不足が大きな悩みです。「採用した人がすぐ辞めてしまう」「初めてパートを雇う」「親から会社を継いだが、労務のことは何も分からない」。こうした地域の経営者の言葉で困りごとを書くと、「自分のことだ」と感じてもらえます。
Googleマップ(Googleビジネスプロフィール)も整える
「喜多方 社労士」と検索すると、ホームページより先にGoogleマップが表示されます。営業時間・住所・電話番号をホームページと同じにそろえ、外観の写真を載せ、口コミには返信しておきましょう。整え方は喜多方・会津のお店がGoogleマップで選ばれるためのコツにまとめています。
公開前のチェックリスト
ホームページを新しく作るとき、いまのホームページを見直すときに、確認してみてください。
- スマホで開いて、最初の画面に「どこの・何の事務所か」と問い合わせボタンがある
- 対応業務に、経営者の困りごとの言葉が添えてある
- 代表の顔写真・氏名・資格・登録番号・所属会が載っている
- 料金の目安と、含まれるもの・含まれないものが分かる
- 初回相談の条件(無料か有料か、対面かオンラインか)が分かる
- 相談から契約までの流れが分かる
- 登録している正式な事務所名を使っている
- 対応エリアと、駐車場の情報が載っている
- 「100%経営者の味方」「必ず」「No.1」などの表現を使っていない
- 助成金の受給額だけを強調していない
- お客様の声は、本人の了解を取って載せている
- 最後のお知らせが、1年以上前のままになっていない
あてはまらない項目が3つ以上あれば、見直す価値があります。そのほかの原因はホームページから問い合わせが来ない7つの原因もあわせてご覧ください。
Otsuksにご相談いただく場合
Otsuksは、福島県喜多方市を拠点に、ホームページ制作・ロゴ制作・MEO運用支援を行っています。社労士事務所をはじめ、歯科医院や暮らしのサービス業など、「信頼感で選ばれる」業種のサイトを手がけてきました。
- 桜木社会労務士事務所様のコーポレートサイト制作事例:東京・渋谷の社労士事務所のサイトです。5つの業務をそれぞれ専用ページに整理し、余白の多い落ち着いたデザインで、経営理念・代表挨拶・事務所概要へ順に進める構成にしました
- MAHALO DENTAL CLINIC 宮原院様のコーポレートサイト制作事例:埼玉県の歯科医院のサイトです。予約ボタンを常に見える位置に置き、診療時間とアクセスをすぐ確認できるようにしました
- 株式会社Reclean様のコーポレートサイト制作事例:千葉市の不用品回収・遺品整理の会社のサイトとロゴを同時に制作しました。「頼む前に知りたいこと」に先回りして答える構成です
このように、会津に拠点を置きながら、県外のお客様ともお取引があります。打ち合わせから制作まで代表が直接担当し、喜多方・会津の事務所はもちろん、県外の事務所にもオンラインで対応しています。納品時には、お知らせをご自身で更新できるよう、WordPressの操作マニュアルをお渡ししています。
料金の目安は次のとおりです(すべて税別)。
| 内容 | 料金 |
|---|---|
| コーポレートサイト制作 | 30万円〜(制作期間の目安:約1ヶ月) |
| ロゴ制作 | 1案 5万円〜/3案 8万円〜 |
| MEO運用支援(Googleマップ対策) | 月15,000円〜(初期費用なし) |
詳しくは料金ページをご覧ください。制作費全体の相場は福島・会津のホームページ制作の費用相場に、制作会社の選び方は制作会社選びで失敗しないための質問リストにまとめています。
まとめ
- 紹介が中心の士業事務所ほど、ホームページは「紹介された人の不安を消す道具」として必要
- 見る人が知りたいのは「頼めるか・いくらか・誰か」の3つ
- 対応業務・プロフィール・料金の目安・相談の流れ・事務所概要・Q&A・お知らせの7つをそろえる
- 社労士の広告は連合会の会則で規制され、2025年には797件が是正された。「100%経営者の味方」のような言い切りは避ける
- 表現に迷ったら、所属の社労士会や所属団体に確認する
- 会津の事務所は「会いに行ける近さ」と「オンライン対応」の両方を伝える
正確な情報を、経営者の言葉でていねいに伝えること。それが、結果として信頼と問い合わせにつながります。「いまのホームページのどこを直せばよいか分からない」という段階でも、お気軽にご相談ください。
参考にした資料
- 全国社会保険労務士会連合会会則(厚生労働省サイト掲載)第43条の3・第43条の4・第44条:https://www.mhlw.go.jp/general/minkan/roudou/dl/siryo1_01.pdf
- 日本経済新聞「社労士広告『100%経営者の味方』は不適切 労使中立反する797件是正」(2025年8月30日):https://www.nikkei.com/article/DGXZQOTG146H20U5A810C2000000/
- 茨城県社会保険労務士会「社労士と社労士制度 よくある質問」:https://www.ibaraki-sr.com/faqs/faq_questions/index/26/category_id:15?frame_id=29
Contact
– ご相談・お見積り無料 –
福島・会津でホームページ制作をご検討中の方へ。
喜多方市拠点のOtsuksが、Webサイト制作からロゴ制作、Googleマップ対策(MEO)までまとめてご相談をお受けします。
「まだ何も決まっていない」段階でもお気軽にどうぞ。
